この章では、具体的な利用例を紹介しながらINTERGLAD Ver.6の利用方法を説明します。詳しい利用方法については、「W章 画面の説明」をご覧下さい。 |
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![]() 1.収録データの検索、解析 先ず、インストールされているINTERGLAD Ver.6 を立ち上げると、初期画面が表示されます。 INTERGLAD収録データの各項目ごとの内訳は、[Contents of Data]ボタンから確認できる。知りたい情報に関係するキーワードと、収録データの件数を予め確認しておくと良いでしょう。 初期画面の[GO QUERY]を選択すると検索画面が表示されます。 |
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![]() ここでは、先ずFRP用の高強度ガラス繊維をカタログデータから探しだし、そのガラスの市販名から、そのガラスに関するさらに詳しい情報を集める方法を紹介します。 検索画面右下の[RESET]ボタンで検索画面の各カラムを空欄にしてから、「出典」カラムをダブルクリックして出典小画面を表示させ、その中の「カタログCatalogue」(小分類)をクリックして [OK]ボタンを押します。 次に、「外観・特徴・製法」カラムをダブルクリックして同小画面を表示させ、その中の「外観Appearance」の左にある◎をクリックする。表示される項目の中から「形状Shape」を探しだし、その左の◎をクリックし、さらに「線状Linear」の左の◎をクリックして、表示される項目中の「ファイバーFiber」をクリックしてから[OK]ボタンを押します。 さらに、「用途」カラムをダブルクリックして同小画面を表示させ、その中の「材料Material」の左にある◎をクリックして表示される項目の中から「Plastics、FRP」を探しだしてクリックし、[OK]ボタンを押します。 |
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![]() 参考: 「外観・特徴・製法」あるいは「用途」は、必ずしもすべてのガラスデータに対して記載が存在するわけではありません。従って、この項目を指定しても、INTERGLAD中のその情報が漏れなく収集できるとは限りません。 |
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![]() 続いて、[SEARCH]ボタンを押すと、検索が開始され、暫くすると検索結果リストが表示されます。検索件数は18件です。(但し、ver.6リリース時。以下同様) その画面右上の[Property…]ボタンをクリックすると、小画面が表示され、18件のガラスが持っている全特性項目が表示されます。 |
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![]() その中の[Tensile Strength]と[Young's Modulus at RT]のチェックボックスをクリックして[OK]を押すと、検索結果リストにそれらの特性値が表示さます。 その中でヤング率が最も大きく、引張強度も比較的高いガラス(GC06-052225)に注目して、マウスでその行をクリックして背景色をブルーに反転させた状態で、画面上部の[DETAIL]ボタンをクリックすると詳細画面が現れます。 その[Data Source]欄を調べると、市販ガラス名が[S-Glass]であることがわかります。 |
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そこで次は、S-Glassについて詳しく調べることにします。 詳細画面を[CLOSE]ボタンで閉じてから、検索結果リスト画面の左上のアイコン[←]を押して検索画面に戻り、画面右下の[RESET]ボタンを押して各カラムを空欄にしてから、画面上の「市販ガラスCommercial Glass」カラムをクリックします。アルファベット順に整理された市販ガラスのリストが小画面に表示されるので、[S]の左側の◎をクリックし、頭文字がSの市販ガラス名リストから[S-Glass]を探し出してクリックし、その小画面の[OK]を押します。 次に、「市販ガラス」カラムのすぐ右にある[Develop 組成展開]ボタンをクリックすると、[S-Glass]の組成が組成欄に展開されます。 |
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参考:このケースでは収録されている[S-Glass]の組成がすべて同一なので、%min欄と%max欄には等しい値が表示されます。同じ市販ガラス名でも組成値が異なる場合もあり、その時はそれらの数値のうち最も小さいものが%min欄に、最も大きいものが%max欄に入ります。 |
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続いて、[SEARCH]ボタンをクリックすると、検索が開始され、検索結果リストが表示されます。検索件数は8件、出典数は7件と表示され、8件のデータが7つの引用源から収集されたことになります。 | ||
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参考: [Develop組成展開]ボタンをクリックせずに(組成展開せずに)検索した場合は、検索件数は3件となります。組成展開することにより、市販ガラス組成と同じで市販ガラスではないガラスの抽出が可能になります。 | ||
![]() 検索結果リストのデータに青色の数値が散見されますが、これらは、例えば測定温度、熱処理条件などの条件付きの特性値を意味しており、詳細画面でその条件の確認ができます。このようにして、市販ガラスS-Glassに関する情報を集めることができます。 次に、S-Glassの周辺組成のガラスに関する情報を集めることにします。 検索画面に戻り、組成欄各成分の%min欄の数値を2%小さい数値に変え、%max欄の数値を2%大きい数値に変え、±2%の幅でデータを取り込むことにします。すなわち、 SiO2 : 63〜67 mass% Al2O3 : 23〜27 mass% MgO : 8〜12 mass% |
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参考:各カラムへの数値の入力は、カラムを一旦クリックしたのちにダブルクリックしてから入力すると、スムーズにできます。 参考:検索結果画面などに表示される組成値は固定小数点で、小数点以下2桁まで表示されます。100ppm未満の微量成分はppmで表示されます。 |
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続いて、[SEARCH]ボタンをクリックすると、検索結果リストに59件(引用源34)のデータが表示されます。そこで、[Property…]ボタンを押して、知りたい特性項目(ヤング率とビッカース硬度)を小画面上で選択し、[OK]を押すと検索結果リスト上に特性値が表示されます。 次に、その中のヤング率とビッカース硬度が比較的高い24番目のGJ06-073521について、その出典源の関連情報を調べることにします。その行にマウスポインターを移動させてクリックし、その行をブルーに反転させてから、画面左上のアイコン「同一出典リスト」をクリックします。暫くすると同じ出典から収集されたガラス5件から成る同一出典リスト画面が表示され、その文献の研究に使用されたすべてのガラスの情報を知ることができます。 |
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(2) 市販ガラスの組成を推定する ![]() 市販ガラスの多くは、組成値が記載されていませんが、特許データを活用すると、その組成が推定できる場合があります。ここでは、旭硝子のPD200について組成を推定してみることにします。 検索画面下方の出典欄をクリックして、Catalogueの中からAsahi Glass (J) を指定し、同欄右のNumber欄をクリックしてPD200を指定し、[SEARCH]ボタンを押します。 |
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![]() 右図のように、組成欄が空欄の詳細画面(ガラスNo.167699)が表示されます。 そこで、左上のアイコンを使ってこのページを印刷しておきます。 この詳細画面を閉じて検索画面に戻り、今度は、所定の特性値を有する旭硝子の特許データ(実施例)を探すことにします。 |
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検索画面の特性欄をクリックして表示される小画面の[Mechanical,Physical]の左の◎をクリックすると、[Density, Porosity]が表示されます。その左の◎をクリックし、さらにDensityの◎をクリックして、表示される[0510 Density at RT]をクリックして指定します。詳細画面に記載されていた数値(2.8g/cm3)を参考に、その行のmin%欄に2.7(g/cm3)を入力し、max%欄に2.9(g/cm3)を入力します。 さらに、特性欄の2行目をクリックして、同様に、[Thermal]の中の[Thermal Expansion]の中の[Linear Expansion Coeff]にある[1020 Expansion Coeff (Typical)]を指定し、詳細画面に記載されていた数値(83×10ー7/℃)を参考に、min%欄に81(10ー7/℃)、max%欄に85(10ー7/℃)を入力します。続いて、出典欄においてPatentを、Pat. Company欄でAsahi Glass (J)を指定し、[SEARCH]ボタンを押します。 |
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![]() 13のガラスが検索結果リストに表示されます。ガラスNo.167699とほぼ同じ密度、同じ熱膨張係数のガラスが3件表示されていることがわかります。 なお、ガラス組成は、検索結果リスト右上の[Component...]ボタンを使うことにより、検索結果リスト上で確認することも可能です。 |
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![]() 詳細画面に記載があったその他の特性についても、同じかどうかを調べるために、検索結果リスト右上の[Property...]ボタンをクリックして、特性ID小画面を表示させ、[1123 T at 1E14.5 dPa・s (Strain P)]のチェックボックスをクリックし、[OK]を押します。 検索結果リストに歪点温度が追加され、ガラスNo.167699と同じ歪点のガラスは、No.225008であることがわかります。 その行をダブルクリックすると、ガラス組成が記載された詳細画面が表示されます。 |
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![]() Ver.6に収録されている図データとしては、粘度の温度依存性、イオン等の拡散速度の温度依存性、屈折率分散の波長依存性、電気伝導度・直流体積抵抗率・交流体積抵抗率の温度依存性などがあります。これらは、特性式の係数等のデータを使用して図に表示するものです。このほかに、図としても数値データとしても利用できる熱膨張曲線、透過スペクトル、吸収スペクトル、反射スペクトル、放射スペクトル等のデータがあります。 ここでは、ZrF4を60mol%以上含むフッ化物ガラスの粘度の温度依存性を調べる事例を紹介します。 検索画面右下の[RESET]ボタンで検索画面のカラムを空欄にしてから、組成欄左上の[mass%]プルダウンメニューをクリックしてmol%を選択し、成分カラムに[ZrF4]を入力し、%min欄に60を入力します。 次に、ガラス汎用名欄に「Fluoride」を入力し、特性欄のカラムをダブルクリックして特性小画面を出し、「Thermal」をクリックして表示される「Viscosity」の中の最上段にある1231〜1233までのフルチャーの式の定数3つを、それぞれのカラムに入力します。 続いて、[SEARCH]ボタンを押して検索結果リストを表示させると、3件のデータ(出典数は3件)が検索結果リスト画面に表示されます。1番目と2番目のガラスは、図の表示に必要なフルチャーの式の定数3つが数値で収録されているので図データが存在します。2番目のガラスの詳細画面を表示させ、その画面右下の[Figure]プルダウンメニューを開いて[Const. Fulture's Eq.]をクリックすると、粘度の温度依存性を表す図が表示されます。 |
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参考: Alumino-Silicate ,Boro-Silicate ,Fluoro-Phosphateなどのガラス汎用名は、すべてのガラスデータに記載されているため、ガラス組成を大まかに指定する場合に便利です。但し、それらの分類は絶対的尺度があるわけではなく、また必ずしも厳密に命名しているわけではないので注意が必要です。 |
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(4) 特性間の相関関係を調べる 例として、PbOを10mass%以上含むガラスの密度と屈折率の相関関係について調べることにします。 検索画面右下の[RESET]ボタンでカラムを空欄にしてから、組成欄の「成分」カラムをダブルクリックして組成小画面を表示させます。この小画面の[酸化物Oxide]の左側の◎をクリックすると小分類項目が表示されるので、その中の[二価酸化物M2+Oxide]の◎をクリックして、表示される成分リスト中の[PbO]をクリックし、[OK]ボタンを押して指定します。検索画面の指定カラム内にPbOが表示されるので、すぐ右の%min欄に10mass%と入力します。 |
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![]() 次に、特性欄の「特性Properties」カラムをダブルクリックして特性小画面を表示させます。[機械的物理的Mechanical, Physical]の左の◎をクリックすると中分類項目が表示されるので、その中の[密度・気孔Density, Porosity]の◎をクリックします。続いて小分類項目の中から[密度Density]の◎をクリックして表示される特性項目から[0510Density at RT]をクリックして指定します。 同様に、[光学的Optical]の◎をクリックすると中分類項目が表示され、その中の[屈折Refraction]の◎をクリックし、小分類項目の中から[可視光屈折率Refract Index Visible]の◎をクリックし、表示される特性項目から[2017 Refract Index 587.6nmd]をクリックして指定します。特性値として取り出したい情報は、この例では数値だけなので、特性欄右上にある[Numerical]チェックボックスをオンにしておきます。 |
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![]() 続いて、検索画面右下の[SEARCH]ボタンをクリックすると、検索が開始され、67件の出典から合計322件のガラスが検索結果リストに表示されます。左上の[Data source list]ボタンを押すと一出典一行から成る出典リストが小画面で表示されます。 次に、密度と屈折率の関係をグラフにプロットすることにします。 検索結果リストの左上にあるアイコン「X-Yプロット」をクリックして、X-Yプロット画面を表示します。その画面左下の[X-axis]カラムをダブルクリックすると[組成]と[特性]が表示されます。[特性]の◎をクリックすると、322件のガラスが数値データとして持っている全特性項目が表示されます。その中から[0510 Density at RT]を選んでクリックして指定します。続いて、[Y-axis]カラムについても同様に操作して、[2017 Refract Index 587.6nmd]を指定すると、該当するデータがプロットされます。 カーブフィティングは、X-Yプロット画面右下のプルダウンメニューを使います。直線、2次曲線、3次曲線の中から1つを選んでクリックすると、X-Yプロット上にカーブが描かれます。この例の場合は、2次曲線がフィットしそうです。図中に回帰曲線の式と係数、寄与率R2が表示されます。各プロットにマウスのポインタを持って行くと、ガラス番号と出典が表示されます。ポインタの座標も表示されます。 |
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参考:「X-Yプロット」画面は、スケール変換機能があり、X-axisとY-axisのスケールをそれぞれ独立に対数スケール、逆数スケールあるいは倒置(最大値を0点に持ってくる)にして表示させることができます。また、[DETAIL]ボタンを押した状態で各プロットをクリックすれば詳細データが呼び出せ、[DELETE]ボタンを押した状態ではプロットを1点づつ削除でき、[Delete a Source]ボタンを押した状態では同一出典のプロットを一括して削除することができます。 [ZOOM]ボタンを押した状態でマウスを操作すれば四角で囲んだ部分が拡大表示されます。なお、[UNDO]ボタンで直前の[DELETE]を取り消すことができ、[RESET]ボタンで拡大表示を元に戻すことができます。 |
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